しかし、クラヴィスは私とクロルの不安をよそに、翌日にはもう私のクラスを訪れた。

そして、私のことをこう呼ぶのだ。



「【マリーナ王女殿下】、少しよろしいですか?」



クラヴィスが私に話しかけたことに周りの者は大層驚いていた。


「クラヴィス様がどうしてあの悪女に……!」

「クロル様のように脅されているのではなくて!」

「絶対にそうだわ。隣国の公爵家まで無下に扱うなど、あり得ない」


噂というものは、きっとこうやって尾ひれがついていくのだと思った。