その様子を見て、クラヴィス様はクスッと少しだけ笑った。


「予想通りだ。やはり随分と周りの者に慕われている。それに度胸もある……いや、度胸があるフリが上手いのか。どちらにせよ、君が魅力的であることは変わらないだろう」

「それと当たり前だが、私のことも『クラヴィス』と呼べば良い」



「クラヴィス……貴方は一体何を考えているのですか?」



「私はもっと君のことが知りたい。ただそれだけだ。同じ学園にいるのだから、また声をかけるよ」


そう言って、クラヴィスはその場を去っていった。

「マリーナ様」

クロルはクラヴィスの背中に視線を向けながら、「大丈夫ですか」と問いかけた。

「ええ。しかし、クラヴィスは何を考えているのかしら。呼び名を変えれば、周りからも親しい関係と思われても不思議ではない。この大悪女と」

「しばらく様子を見るしかないかと」

「そうね。警戒をするに越したことはないわ」