「構いませんわ。お好きなようにお呼びになって」

私がそう答えると、クラヴィス様の表情が変わった。

「怒らないのか」

そのクラヴィス様の質問で私は確信した。


「わざと私を怒らせようとしていたのでしょう? ここで怒ってはクラヴィス様の思い通りになってしまいます」


「随分と心が広いのだな。本当に悪女とは思えない」

「心が広いから許可したわけではありませんわ。クラヴィス様は先ほどから私への敬意をなくしていない。私をユーキス国一番の大悪女として扱っていない」

私の返答を聞いたクラヴィス様は感心した様子だった。

「どうやら噂が間違っている可能性の方が高いようだ。しかし、何故そんな噂が立ったのかが分からない」

その瞬間、クラヴィス様がさらに半歩私に近づいた。

「っ!」

すると、すぐにクロルがクラヴィス様と私の間に手を広げ遮った。