すると、廊下の角からスラッとした青年が姿を表した。



「初めまして、マリーナ・サータディア王女。クラヴィス・イージェルと申します」



私はクロルに大丈夫だと合図をして、青年に微笑んだ。

学園に入る前に確認した名簿を思い出す。

確かクラヴィス・イージェルという名は隣国マリス国の公爵子息だったはず。

「クラヴィス様、どうされましたか?」

クラヴィス様と目を合わせると、瞳の奥を覗かれているような不思議な感覚に(おちい)った。



「先ほどの令嬢たちとのやり取りを見て気になって追いかけて来たのだけれど、貴方は随分と噂と違うようだ」

「ねぇ、貴方はどうして国一番の大悪女と呼ばれているの?」



また物語が大きく動き始める。