「ねぇ」

私が声をかけると令嬢たちはビクッと身体を震わせる。

きっと令嬢たちは私を怖がっている。

だって私は「大悪女」だから。

その反応で気づいたの。

国一番の嫌われ者である私は、「もう嫌われない」

もう恐れるものなんてない。



「ねぇ、貴方たち。もし私がクロルを無理やり護衛騎士にしたとするならば、クロルは私に逆らえなかったということかしら?」



令嬢たちは恐れながらも、言葉を紡いでいく。

「だって貴方はこの国の王女で……!」

「ええ、そうよ。私はこの国の第一王女。つまり、この国の騎士であるクロルが私を守ることは何も不思議ではないわ」

私の言葉に令嬢たちは「やっぱり!」と顔を強張らせ、私に軽蔑の目を向けた。