学園に足を踏み入れると、私を遠目から見ながらコソコソと話している者ばかりだった。

耳をすませば……「誰? あんな生徒いた?」「綺麗なブロンドヘアだわ」と話している声が聞こえた。

まだ私がユーキス国の第一王女だと気づいている者はいなかった。

しかし、教室に入って自己紹介をすれば、皆の対応は一気に変わった。

私が「マリーナ・サータディア」であると知った瞬間、私に向けられる視線はあまりに厳しかった。


「は? あの大悪女?」

「大悪女っていうか悪魔でしょう? 悪政の根源じゃない」

「今更、学園に何しに来たの」


耳をすまさなくても聞こえる声で悪口を言い始めた。

しかし、私は安堵した。

直接的に害を与えようと攻撃してくる者がいなかったからだ。

私が第一王女という立場であることも大きかったのであろう。

皆、私の権力を恐れて近づかなかった。