「マリーナ・サータディア、お前は屋敷の者以外と話したことはあるか?」


その青年は意味の分からない質問を続けた。

しかし、その威圧感はすざましく、私は気づいたら答えてしまっていた。

「体が弱いこともあって、ほとんど屋敷の者以外と話したことはありませんわ」

私が何とか答えると、その青年は急に優しい雰囲気に変わり「ふふっ」と笑った。

「へー、もっと怖がりかと思ってた。俺と初めて話しかけられて答えられるだけで凄いよ。だから、屋敷の者に好かれているんだね」

青年はそのままこう続けた。


「ねぇ、マリーナ。今ユーキス国で猛威を振るっている流行り病を治めて欲しい?」


突飛な質問でも、その青年にはその力があると感じた。


「勿論ですわ!どうかお願いします!」


すると、その青年は心底面白そうに笑うのだ。