私はクロルに視線を向けた。

「ねぇ、クロル。本当に良かったの? 学園に入学すれば、貴方の大好きな剣術を学ぶ時間が減ってしまうわ」

「構いません。マリーナ様を守るために今まで頑張ってきたのですから。それに剣術を学ぶ時間は作ろうと思えば、どれだけでも作れますので」

クロルは当たり前のようにそう述べた。

そんな話をしているうちに、馬車は学園に繋がる門を潜り抜けた。

「もうすぐ着くのね……」

本当なら馬車から見える景色も、屋敷の外の景色も、全て輝いて見えてもおかしくない。

それでも、不安で景色を楽しむ余裕はなかった。

「全ての失敗した政策が私の案……我儘にされているのよね」

私の呟きにリーリルの表情は曇った。