学園までの馬車には私とリーリル、そしてクロルが乗っている。

「お嬢様、何かあればすぐにリーリルに言って下さいね」

「分かっているわ」

「私も学園の中までついていくことが出来れば……!」

メイドは寮の中で主人の世話をすることが主な仕事なので、学園の中に入ることは出来ない。

リーリルがクロルを横目で見ながら、ため息をついている。

「というか、本来はクロルも学園の中までついて行けないはずだったのに、クロルは強引だから……」

「そういうリーリルも大分ゴネてただろ」

「まぁ、お嬢様も守ってくれるならなんでも良いけれど」

そう。クロルは基本的に貴族しか通うことの出来ない私の学園に伯爵家の次男であることを利用して入学した。

同い年であることもあり、テストの結果を受けて私と同じ学年から入ることが出来るらしい。

本来、護衛騎士は送迎の時しか主人のそばに居られない。

理由は学園の警備がしっかりしているからだ。