「あら、さすが。クロルには全てお見通しね。ねぇ、クロル。私、屋敷の外に出るわ。そして、まずは学園に通う」

クロルが一瞬だけ眉を(ひそ)めたのが分かった。

私はそのままフリクに言われたことと私の考えをクロルに伝えた。

クロルは話を聞いてすぐにこう述べる。

「反対です。マリーナ様が苦しい思いをするだけです。せめて今までの経緯を全て国民に話し、信じてもらってから屋敷の外に出るべきです」

「クロル、あんな不思議な『嫌われた人数だけ救ってくれる』なんて言葉を誰が信じると思うの? 貴方たちが信じてくれたのは、私への信頼があったのも大きな理由でしょう?」

「っ!しかし、私はマリーナ様に苦しい思いなどしてほしくありません。まず私はマリーナ様の悪い噂を流すなど、貴方が国一番の大悪女になることも反対していたではありませんか」

「ええ、分かっているわ。いつもクロルは私を心配してくれる。それでも、出てみたいの。だって、今回の流行病からユーキス国を守るだけでは意味がないの。私はこれからも第一王女としてユーキス国を守っていかなければいけない。そのためには閉じこもっているだけでは駄目だわ」

クロルの表情は変わらなかった。