「それでは二曲目、「自由」でえす」
 と、ヒロコが大声を出した。
 わあ、と歓声があがった。蓮がギターを引き出す。女子中高生、ギャルたちの目線、スマホがそちらに行く。ミホも蓮を見た。キレイな指先が素早く弦をはじいている。ヒロコが歌いだした。元気な声で歌いだした。テンポの速い曲だった。
 ミホの胸は高鳴った。
 「はい、ここで、ギターソロ」
 と、ヒロコが大声でいった。
 わあ、と彼女たちが歓声をあげた。ミホも歓声をあげた。これを楽しみにしていた。スマホを掲げているものもいる。
 蓮が前へ出る。
 「キャー」
 と、ギャルが歓声をあげた。
 「蓮先輩」
 と、セーラー服のこたち。
 「蓮先輩」
 ミホも声を上げた。
 蓮が激しくギターを奏で始めた。みんな蓮の美しい指がその美しさに似つかわしくなく、激しく躍動するのを見た。ギターが激しくなっていた。
 「うをー」と彼女たちが歓声をあげた。ミホもみんなと歓声をあげた。拍手があがった。ミホも拍手していた。
 「はい、蓮君、ありがとう」
 と、ヒロコが大声でいった。蓮は笑みを浮かべて下がった。
 再び、蓮がギターを奏でだす。ヒロコが歌いだす。
 みんなが聞き入った。ミホは蓮をみつめていた。蓮は繊細にギターをひいていた。キレイな指先がしなやかに動いていた。
 やがて、曲が終わった。蓮がギターをじゃーんとしめた。
 「うをー」
 と、観客の歓声があがった。
 拍手があがった。
 「今日のステージはここで終わりでえす。ありがとう」
 と、ヒロコが大声でいった。
 「ありがとう」
 と、蓮も大声でいった。
 「えええええええええええ」
 みんなが一斉にいった。