…だめだ。


及川くんのことばっかり考えちゃう。


ドキドキと心臓がうるさい。


さっきから上の空になりっぱなしの意識を、私はなんとか現実に引き戻して及川くんの話を聞く。


「ここはこうやって式を立てれば…」


「う、うん」


及川くんの綺麗な横顔をちらりと見て、集中集中!と自分に言い聞かせて、教科書に目を落とした。