夢を見ていた気がする。


髪の毛に、誰かが触れていて。


額にかかった髪を退けるように、優しい手つき。


少しだけ冷たい手が頬に添えられた感覚がして、柔らかい何かが唇に触れた。


⭐︎
「…ん」


夢、みてたのかな…


ぼんやりとしていた視界だけどだんだん思考がはっきりしてきて、私ははガバッと起き上がった。


「私、ここで何してたんだっけ…」


「…起きたのか」


及川くんが壁に背をつけながら、顔を上げた。