お皿を洗う手が、一瞬だけ止まった。 けど何ごともなかったように、動作が再開される。 やっぱり、さっきからなんか機嫌悪い。 「及川くん、怒ってる?」 全然目合わせてくれないし、むすっとしてるし。 「…怒ってねーよ」 「…嘘」 いつも無愛想だけど、今日はいつも以上というか。 声だって低い。 「私、何かした?」 「…だから怒ってねーつってんだろ」 「でも」 「お前もう黙れ」 「……っ!」