目を凝らして少し近づくと、どこかで見たことあるようなシルエットが浮かぶ。 近づくにつれて、街灯の灯りで照らされたその人が、誰かわかった。 「及川くん」 汗を拭って、及川くんが振り返る。 さらさらとした黒い髪が、風で少し揺れている。 「こんな暗い中で、何してんの?」 「……バスケ。見てわかんだろ」 「…あ、はい…」 わかりきったこと、いちいち聞くなってことね…。