「…あ…何にもないよ、大丈夫!いや、槙野くんってやっぱり料理上手だなぁって思って」


「……そんなことないっす」


ぼんやりとする私を心配そうに見つめていた槙野くんに笑い返せば、槙野くんの耳が、真っ赤になっている。


照れてるのかな。


こういうところが可愛がられる要素なんだろう。


あ、そういえばあの喫茶店のメニューにタルトってあったっけ?


もしあったら、今度作り方聞いてみようかな…


私はそんなことを考えながら、手を動かしていた。