3年の先輩はその大仕事を終えていんたいだから、先輩たちと一緒に部活ができるのもあと数ヶ月だけだ。


「にしても槙野くんって、包丁さばき、プロ並みだよねー」


葉月先輩の声に、私は目の前の後輩、槙野くんを見た。


今まで女子だけだった部活に入った、唯一の男子。


1年生で、まだあどけなさが残っていて可愛い。


先輩たちからは弟のように可愛がられている。


「花坂先輩、どうしたんですか?なんかさっきからぼーっとしてますけど」


槙野くんに言われて、私は「えっ」と声を漏らす。