「及川くん!」 女子の目を潜り抜けて、私は階段を登っていた及川くんに声をかけた。 及川くんがゆっくり振り向く。 「………お前、昨日の」 「及川くん歩くの早すぎ!」 「…何の用」 「昨日はありがとう。カフェオレ、すごく美味しかった」 「わざわざそんなこと言いにきたわけ?」 そ、そんなことって… 普通にお礼言いたかっただけなんだけどな。