しょうがないなあ…
「来週部活でガトーショコラ作るんだけど、雅くん食べる?」
「食う」
即答だった。
その時ガチャっとドアが開いて、マスターが顔を覗かせた。
「雅、ちょっと手伝ってくれ。七瀬ちゃんも、少し休憩がてら何か飲まないかい?」
「あ、はい!」
「七瀬ちゃんがクッキー出し始めてから、月曜日に来るお客さん一気に増えて、大人気だよ!七瀬ちゃん、すっかりこの店の看板娘だよ!」
か、看板娘はさすがに言い過ぎじゃ…
「僕が年取ったらこの店、雅と七瀬ちゃんのふたりでずっと一緒にやってもらいたいくらい」
「ま、マスター何言って…!」
マスターは小さくウィンクして、カウンターへ戻っていった。
い、今のってどういう……
「言っとくけど、死んでも離すつもりねーから」
「へっ?……っ!」
茫然とする私に、軽く触れるくらいのキスをする雅くん。
私は恥ずかしさが限界を超えて、顔がぼんっと赤くなる。
「そんなとこに突っ立ってないで早く行くぞ」
そう言ってカウンターに続く扉のドアノブに手をかけた雅くん。
そんな彼を引き止めるように、私は「雅くん!」と名前を呼んだ。
そのまま雅くんを引き寄せて、私からキスをする。
「さっきのお返し!」と、私はイタズラっぽく笑った。
雅くんは少しびっくりしたように固まったけど、すぐに表情が和らいで、小さく笑った。
私の大好きな、とびっきり優しい顔で。
「また雅くんのケーキ食べようかなー」
「…太るぞ」
「いいもん!」
私たちはいつものやりとりで、カウンターに続く扉を開けた。
大好きな君と出会わせてくれた、大好きな喫茶店。
そんな秘密の場所で実ったとびきり甘い恋を、この先もずっと君の隣で。
❤︎おわり❤︎
こんにちは、キヨナです。
この度は「初恋は苦くて甘いカフェオレの味」を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今まで野いちごでは小説を読むだけだったのですが、自分も書いてみようかな…と思い、いざ書き始めたはいいものの…
プロットから大苦戦で、お話一本書き切るのは本当に難しいことだと実感しました。
表現力も足りなく、拙い文章となってしまい、読みにくいと感じられた方、本当に申し訳ありませんでした。
まだまだ未熟ではありますが、温かい目で見ていただけると幸いです。
最後になりますが、改めてこの作品を読んでくださった方々に心からの感謝を。
9月26日 キヨナ