今だって、こんな近くにいたら危ないわよね。
「先行くね」
「うん、分かった。
気をつけてね?」
ドキッ
人間って恋すると本当に胸がときめく音が聴こえるんだ。
色んな顔を持つ早美くん。
私だけが知っていたい。
こんな独占欲、
全部全部全部、嫌になっていくな。
早く早美くんからの距離を離したくて
何人も何人も抜かしていく。
椅子が当たらないように集中し、
角を曲がる。
下駄箱を抜け、昇降口を出ようとした
次の瞬間_____
「ッぃた!!!!」
小さく叫ぶ。
いつもなら分かっているはずの
昇降口の数ミリの段差に
私はまんまと仕掛けられてしまった。
痛いのは今だけ・・・
なんて思っていたのに。