「ねぇ〜〜桜依〜〜〜、
もうこの怒った歩き方やめてもいいと思うよ〜」



「え?」



私は知らない間に、不貞腐れた子供のような歩き方をしていたらしい。



恵奈が笑う。



「明日サボってやろうかな」



「恵奈・・・ごめんね。私のせいだわ」



「まぁ、桜依が美人だから妬んでんだよ。
だからこれって逆に喜ぶ展開だよぉ」



「恵奈ったら・・・」



ニヒッと笑う恵奈にいつも助けられてしまう。




「ちょっと、ちょっと君たち歩くの早すぎ!」



は・・・?



私たちの目の前に、息切れして苦しそうに走り終えた
早美弥生が現れる。



「えっ、いや、えっ」と言葉が出てこない。



恵奈も困ったように頭を掻く。



「いやっ僕もあそこ居ずらいし……ッ
やっば、久々に走ったわ。苦しッ
はぁ・・・ッはぁ」



息苦しそうにしている早美くんの息づかいに
かなり男らしさを感じてしまう。

汗もあってか、余計に思う。



いや、馬鹿馬鹿!



今ギャップを感じてるのは場違いよ私!



「だからって私たちを追うことないじゃない。
1人で駅向かいなさいよ」



「フッハハ、めっちゃ冷たいな〜」



「まあ、いいじゃん。
着いてきちゃったもんは着いてきちゃったし〜
それに転校生、まだここら辺のことわからんっしょ?」



「恵奈ぁ・・・」



こういう楽観的に見えてお人好しなところも恵奈のいいところだけど。



「うんっ助かる!」




ダメだ、何を言ったって早美くんの語尾にはハートマークは消えないのね。