空気が重くのしかかる。
誰かがいれたラブソングは割とポップなイントロのはずなのに、今は何か違う。
クスクスと笑うクラスメイト
下を向く恵奈
だから、この状況で微笑みながら私を見る早美くんには腹が立って仕方がない。
早美くんだって、悪いことしてないのに。
私ってば、落ち着かないと。
「恵奈、帰るわよ」
ごめん、恵奈・・・!
恵奈を使うしか、今のこの状況を突破することは不可能と思ったから。
「ほいほ〜〜い」
恵奈はこうやって気にしないように振る舞うけど、幼稚園からの仲だ。
だから、無理してることくらい分かる。
早美くんは、私を見ている。
次は困った顔で。
まるでご飯が目の前にあるのに飼い主に待てと言われている子犬のようだ。
明日も学校がある。
どうせ今わたしがここを離れたって、1番怖いのは明日の学校なんだ。
私は目を泳がせながらも強い意志を持って、恵奈と2人で、カラオケの部屋を飛び出した。