ナタリーに連れられて食事の部屋へ。
 レオナルドはミサキの前まで行き、右手を持ち上げると手の甲に口づけを落とす。
 ミサキは何が起きたかわからず一瞬固まったが、ハッと我に返り真っ赤になった。

『な、な、な、なんですか?』
「ミサキ」
 極上の王子の微笑みにミサキの心臓が跳ねる。
 
 イケメンが名前を呼ぶって反則でしょ。
 そのままエスコートされ椅子に座らされる。
 人生初のエスコート!
 こんなの映画でしか見た事ない!

「ミサキ、レオナルド」
 王子レオナルドはミサキを指差し、次に自分を指差した。

「レオナルド?」
 レオナルドは目を細めて微笑むと、椅子に座ったミサキの頬に口づけを落とし、ミサキの正面の自分の席についた。

『レオナルド様、やりすぎでは?』
『結婚するんだ。このくらいはいいだろう』

 金髪・青眼のどこからどうみても絵本の中の王子のような雰囲気。
 甘い良い匂いがした。
 レオナルド様、だよね。
 名前も彼にぴったりだと思う。

 お酒っぽい飲み物が運ばれてきたので、ミサキは首を横に振った。
 18歳なのでまだ飲めない。
 
 お昼みたいに水で良いのにな。
 ミサキは昼に水が入れられたグラスを指差した。

『えっ? 水ですか?』
 戸惑いながらもすぐに水を入れてくれる。

「ありがとう」
 ミサキがお礼を言うと、本当に水でいいのかと思っていた黒服がホッとした顔になった。

『たった一時間でこの成長なら、いけるんじゃないか?』
『そうだと良いですが』
 家庭教師マルクから「真面目だった」と報告を受けていますと補佐官リチャードが言うと、王子レオナルドは満足そうに頷いた。