「ルククの実を食べるとは思わなかった」
 王子レオナルドが食事中のミサキを思い出して笑う。
 
 ルククの実は魚料理の臭みを取るために添えられる緑の実だ。
 
「食べる物も違う国から来たのだな。こちらの都合で呼んだのだ。ドラゴンを倒した後は言い伝えの通り結婚するぞ」
「えっ? 本当に結婚されるのですか? キャサリン様はどうされるのですか?」
「キャサリンを正妃に、聖女を側妃だとマズイか? 聖女を正妃にするべきか?」
 まぁドラゴンを倒すまでに考えると言うレオナルド。
 
「討伐をルイス様に任せるので結婚もルイス様にして頂いては?」
「いや、それではルイに悪いだろう」
 代わりに討伐へ行ってもらうだけでもすまないと思っているのに。
 レオナルドが目を伏せると補佐官チャールズも言葉に詰まった。
「とりあえずできる限り言葉を教えて、治癒を使ってほしいと頼もう」
「はい、レオナルド様」
「茶会も定期的に頼む」
 結婚するのだから交流を持っておきたいと言うレオナルドに補佐官チャールズは畏まりましたとお辞儀した。