翌朝6時に部屋を訪れたエマはミサキの顔を見て驚いた。
 明らかに泣いていましたという顔だ。
 おろおろとするエマに、恥ずかしそうにミサキは笑った。

 今日は食事の支度を手伝う。
 じゃがいもの皮を剥いたらエマが驚いていた。

 ちゃんと一人暮らしで自炊していたんだから!
 難しい料理は作れないけれど、じゃがいもは安価でよくお世話になっていたので皮むきは出来る。
 
 その驚いた顔は、何にもできないと思われていたのだろう。
 どうだ! とばかりにミサキは玉ねぎのみじん切りも披露した。

 ここの調味料はわからないので、味付けはエマにお任せだ。

 食事が出来上がる頃に、やってきたお姉さんたちは水浴びをしたのだろうか。
 ツヤツヤの髪がキレイだった。

『……何よ、新人』
 目が合ったマリーが眉間にシワを寄せる。

「きれい」
 ミサキは自分の黒髪を引っ張り、手でウネウネを表現した。
 マリーの綺麗なウェーブの茶髪を褒めたつもりだが伝わっただろうか?

『当然よ』
 ふんっと去っていくマリー。

 伝わらなかったかな?
 発音が間違っていたかもしれない。

 うーん。と悩むミサキにエマは手で〇を作ってくれた。
 伝わったってこと?
 やっぱり会話がしたいなぁと思いながら、ミサキはエマと料理をお皿に盛った。