「なんで食事も別なのよ!」
「まさか特別なものを食べているんじゃないでしょうね」
「い、一緒です」
 マリーを筆頭に教会の女性達がエマに詰め寄ると、エマは小さくなりながら女性達に答えた。

「準備も片付けもしないってこと?」
「ありえない」
「働いていないくせに食べるなんて」
 これは私たちが祈りを捧げてもらった物なのに。とアンジーが言うと、周りもそうだと言い始めた。

「今日の片付けをやるように新人に言いなさい」
「で、でも、教皇様が」
「うるさいわね、絶対にやらせなさいよ!」
 マリーが言うと、やってるかどうか見張るわとジャネットが名乗りでる。
 エマは周りの顔を見た後、渋々頷いた。

『あの、聖女様。すみません。片づけを手伝ってほしいのですが』
 扉からおずおずと声をかけるエマに、ミサキはニッコリ微笑んだ。

 今日の食事はパンとスープ。
 パンはみんなで切り分けたのだろう。
 一切れだけだった。
 スープはじゃがいもや人参など野菜のみのスープ。

 王宮で食べさせてもらっていた食事がどれだけ豪華だったのか思い知る。

 それでも働いていないのに食事までさせてもらったことには感謝しないと。
 せめて皿洗いくらいしたいと思っていたところだ。
 エマが来て良かった。

 ミサキは食器を持って立ち上がった。

『洗っていい?』
『あ、あの。手伝います』
 エマもスポンジを手に取り水に濡らす。

 お皿を種類ごとに分けて重ね、順番に洗い、テキパキと終わらせていく。
 水が冷たいので真冬は大変だろうな。

 全員分洗い終わるまでに三十分ほどかかってしまったが、なんとか全て洗い終えた。