これが仕事なのかな?
 言葉がわからないので無理そうだ。
 掃除とか洗濯とか話さなくても出来る事ならやるので、ここに置いてもらえるだろうか。

 やっぱり言葉がわからないってツラい。
 ミサキは溜息をつくと、窓もない部屋でぼんやりと過ごした。
 
「なんで働かないのよ、あの子!」
 一番多くの人に祈りを捧げたマリーがエマに苦情を言うと、周りの女性達もエマに文句を言い始めた。
 
「教皇様が聖女様には祈りだけしてもらえればいいとおっしゃったので」
 それに言葉もわからないとエマが説明すると、女性達は眉間にシワを寄せた。
 
「聖女なんてどうせ嘘でしょ」
「そうよ、特別扱いなんておかしいじゃない!」
「言葉がわからないなんて頭が悪いのね」
 聖女のはずがないと笑う女性達。

「いい? ちゃんと働かせなさいよ!」
「言葉がわからないなら床磨きでもさせなさいよ」
「で、でも聖女様にそんな」
 うるさいわねとマリーはエマを突き飛ばした。
 周りのまだ若い子達は巻き込まれないようにスッとエマから離れる。

 エマは女性達に睨まれ、ビクッと肩を揺らした。