どこかからともなく沸き起こる拍手は何で?

『ようこそ、聖女様。私たちはあなたを歓迎いたします』
 おばあさんも来るのだと思ったら、二人が入口でお辞儀していたのでようやく自分がこの教会っぽい建物に譲られたのだと知った。

 あれー?
 娘にしてくれるわけではなかったのか。

 やっぱり言葉がわからないと意思疎通は難しい。
 今、どうしてこうなっているのかさっぱりわからない。
 
「なんで、これ」
 どうしてここに連れてこられたのですか? と聞きたいけれどうまく聞けなかった。

『聖女様は言葉が話せないのでしょうか?』
 教皇に尋ねられたミサキは首を傾げた。

『あぁ、これは大変だ。さぞかし不安でしょう』
 教皇は優しそうにニッコリ微笑むと、白い綺麗な部屋へとミサキを案内する。

 シンプルな白い部屋には窓がなかった。
 ベッドとサイドテーブルのみ4畳半ほどの小さな部屋。

『どうぞ、この部屋を使用してください』
 この部屋を使っていいってこと?

『エマです』
 白いワンピースを持った女性が入口でお辞儀をする。

「エマデス?」
「エマ」
 あ、エマさんね。
 ごめん。
 
「エマ」
 ミサキが名前を呼ぶと、高校生くらいのエマはふわっと花のような笑顔を見せた。