お城、魔法陣、異世界といえば、次は王子!
 召喚された私は聖女で王子と結婚がお約束!

 部屋の中がざわついたと思った瞬間、期待通りの王子が登場する。
 サラサラ金髪・青眼の王子だ。
 白い正装に金の装飾がついた服を着こなした人物はテンプレ通り、ミサキに手を差し伸べた。

『ようこそ聖女殿。私はこの国の第一王子レオナルド。貴方の名前は?』
 極上の笑顔で言われたミサキは驚きすぎて動きが停止した。

 ……今、何て言ったの?

『聖女殿?』
 なかなか手を取らないミサキを不思議に思ったレオナルドが首を傾げる。

『何語ですか?』
 思わず尋ねたミサキの言葉に今度はレオナルドが止まった。

『まさか言葉が通じないのか?』
『こっちの言葉もわからないの? 嘘でしょう?』

 言葉が通じない異世界なんて無理でしょ!

 急にバタバタと慌てだす周りの人々。

 あぁ、絶対に言葉が通じないなんて予定外だったでしょ。
 ミサキが苦笑しながら王子の手を取ると、王子も困った顔で微笑んだ。