切 迫
1
「ナターシャ?」
玄関に明かりはついてなかった。
いつもなら迎えてくれる笑顔どころか気配さえないのだ。
羽田に着いた時に送ったショートメッセージに返信がなかったのでおかしいなとは思ったのだが、まさか家に辿り着いた時にいないなんて考えもしなかった。
リビングに入って照明のスイッチを押すと、テーブルの上に置かれたメモが見えた。
急いで手に取ると、その瞬間、目を疑った。
あり得ないことが書かれていたのだ。
『探さないでください』
メモを持ってしばらく呆然としてしまったが、ハッとしてスマホの連絡先アイコンから妻の番号を表示させ、それをタップした。
しかし、応答はなかった。
『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、または、電源が入っていないためかかりません』という録音メッセージが流れてくるだけだった。
その理由は2つしか思い浮かばなかった。
妻が故意に電源を切っているか、機内モードにしているか、そのどちらかだ。
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「ナターシャ?」
玄関に明かりはついてなかった。
いつもなら迎えてくれる笑顔どころか気配さえないのだ。
羽田に着いた時に送ったショートメッセージに返信がなかったのでおかしいなとは思ったのだが、まさか家に辿り着いた時にいないなんて考えもしなかった。
リビングに入って照明のスイッチを押すと、テーブルの上に置かれたメモが見えた。
急いで手に取ると、その瞬間、目を疑った。
あり得ないことが書かれていたのだ。
『探さないでください』
メモを持ってしばらく呆然としてしまったが、ハッとしてスマホの連絡先アイコンから妻の番号を表示させ、それをタップした。
しかし、応答はなかった。
『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、または、電源が入っていないためかかりません』という録音メッセージが流れてくるだけだった。
その理由は2つしか思い浮かばなかった。
妻が故意に電源を切っているか、機内モードにしているか、そのどちらかだ。