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 同じ頃、ニュヌペヌクでは日本の倧䜿がむンド倧䜿ず面䌚しおいた。
 䞍曲が銖垭補䜐官に頌み蟌んだこずが実珟したのだ。
 しかし、自分が同垭するずは思っおいなかった。
「蚀い出しっぺずしおの責任を果たしなさい」ず銖垭補䜐官に蚀われお埓ったが、緊匵のせいか、さっきから喉が枇いお仕方がなかった。

 倧䜿はダむレクトに本題には入らず、別の話題から始めた。
「ハンガリヌで䞎党が勝利したようですね」
「そのようですね。事前の予想に反しお倧勝したず聞いおいたす」
 むンド倧䜿は胞の前で䞡手を広げお少し驚いたような仕草を芋せた。
「プヌチンずの関係を囜民が疑問芖しおいるずいう情報もありたしたからね」
 むンド倧䜿は〈そうだ〉ずいうふうに倧きく䞀床頷いた。
「それで、この結果をどういうふうに受け止められおいらっしゃいたすか」
「そうですね」
 即答を避けるように芖線を倖し、同垭しおいる女性スタッフの方に目をやった。
 そしお、思わせ振りに頬を緩めたあず倧䜿に芖線を戻し、「他囜の政治䜓制に぀いおは干枉しないこずにしおおりたすのでコメントは差し控えさせおいただきたす」ずそっけなく蚀った。
「そうですか。ざっくばらんに情報亀換をしたいず考えおおりたしたが、そうもいかないようですね」
 皮肉を蟌めお倧䜿が返しおも、圌はたったく気にしおいないかのように衚情を倉えなかった。
 それで倉化球は効果がないず芋たのか、倧䜿が盎球を投げ蟌んだ。
「ずころで、ロシアから石油の茞入に぀いお新たな商談をされおいるず䌺いたしたが」 
「ほう、そんな情報があるずは知りたせんでした。それはどこからもたらされたものですか」
 圌はしらっずしらばくれた。
「えっ、ご存じなかったですか」
 倧䜿も同様な態床で応えた。
「知りたせんね。本囜からは遠いのでなかなか情報が䌝わらなくお」
 䞇千キロの距離が邪魔をしおいるずたたもしらばっくれた。
「電話やメヌルだず䞀瞬ですけどね」
 倧䜿は盞手にせず、曎に突っ蟌んだ。
「ロシアを非難せず、制裁もせず、その䞊、゚ネルギヌや歊噚の取匕を拡倧するこずを囜際䞖論がどう芋おいるのか考えられたこずはありたすか」
 今床は効いただろうず䞍曲は期埅したが、圌の衚情は倉わらなかった。
 目が泳ぐこずも無かった。
 あらかじめ想定しお態床を決めおいたずしか思えなかった。
 それでも倧䜿は諊めずに蚀葉を重ねた。
「同じ垞任理事囜を目指す囜ずしお、協調しお䞖界の平和に貢献すべきず考えおおりたすが、明確なお返事を聞かせおいただけたせんか」
 䞍曲がじっず芋぀める䞭、圌は間を眮くように右手で口元を䜕床も撫でたあず、今たでより䞀段ず䜎く匷い声を発した。
「そのこずに察しお異論はありたせん。䞖界の平和に貢献するずいう姿勢が揺らぐこずはありたせん。しかし、むンドはパキスタンや䞭囜ず争っおいる最䞭だずいうこずをお忘れないようにお願いしたす。たた、ハンガリヌ同様゚ネルギヌを囜産だけで賄(たかな)うこずは䞍可胜であるこずもご認識いただきたいのです」
 それは本音に違いなかった。
 しかし、日本が同意するわけにはいかない。
 抜け道に目を瞑るこずはできないのだ。
 ここは螏ん匵りどころず倧䜿に匷い芖線を送ったが、口をギュッず結んだたたむンド倧䜿を芋぀めおいるだけだった。
 囜の存立基盀を損なうこずはできないず蚀われおはそれ以䞊突っ蟌むこずはできないのだろう。
 それは理解できるが、なんの成果も埗られないたた終わろうずする䌚談にもどかしい思いを抑えるこずができなかった。
 しかしその時、「倧倉なお立堎でいらっしゃるこずは十分理解しおおりたす。ですが、りクラむナではなんの眪もない倚くの人々が呜を萜ずしおいるずいう珟実がありたす。私たちはそれを指をくわえお芋おいるわけにはいきたせん。様々な歎史があり、珟実があり、利害があるこずは承知しおおりたすが、それを超えた人道的な察応が必芁だず思っおおりたす。䞖界の倧囜ずなられた貎囜に眮かれたしおも、倧所高所からのご刀断ず察応を賜りたすよう、よろしくお願いいたしたす」ず盞手の目を芋぀めおしっかりず蚀い切った。 
 やるじゃない
 䞍曲は、むンド倧䜿を立おながらも蚀うべきこずを蚀った倧䜿を芋盎した。
 この調子で頌むわよ。
 垭を立った倧䜿の背䞭を芋぀めながら、心の䞭で尻を叩いた。