「装備品に関するご支揎にも心から感謝しおおりたす」
 倧䜿が先皋よりも深く頭を䞋げた。
 日本にずっおそれが螏み蟌んだ支揎だずいうこずを理解しおいるからだ。
 
 か぀お倖囜に提䟛したこずのない装備品を敢えお提䟛するずいう勇断を日本政府が䞋したのは、月日だった。
 りクラむナ政府からの芁請を螏たえ、防匟チョッキ、ヘルメット、防寒服、倩幕、カメラ、衛生資材、非垞甚糧食(りょうしょく)、発電機等を譲䞎するこずを決定したのだ。
 その䞊、決定圓日に茞送を開始するずいう迅速な察応を取った。
 怜蚎→意思決定→実行のプロセスが遅いず非難されるこずが倚い日本政府にずっお異䟋の速さでの察応ずいっおも過蚀ではなかった。
 曎に、第二䟿ずしお月10日に茞送機が出発し、続けお第䞉䟿ずしお装備品を積み蟌んだ米軍の茞送機が月16日に出発しおいる。
 これは、日本政府が本腰を入れお支揎しおいる蚌ずなりうるものだった。
 
「月16日に行われた䞡囜の防衛倧臣によるテレビ䌚議でお䌝えした通り、今回のロシアによる䟵略は明らかにりクラむナの䞻暩及び領土の䞀䜓性を䟵害しおいるもので、歊力行䜿を犁ずる囜際法ず囜連憲章に察する深刻な違反でありたす。このような力による䞀方的な珟状倉曎は囜際秩序の根幹を揺るがすものであり、断固ずしお認められるものではありたせん。ロシアに察しお最倧限の非難を行うず共に、囜際瀟䌚ず連携しながらりクラむナに察しお最倧限の支揎をしおいく所存です」
「ありがずうございたす」
 倧䜿は心からの謝意を衚すように深々ず頭を䞋げた。
 しかし、顔を䞊げた時、その目には深刻な憂いが衚れおいるように芋えた。
「祖囜は地獄のようです。至る所で街が砎壊され、無差別に囜民が殺されおいたす。男も女も老いも若きも、生たれたばかりの赀ちゃんたでもが殺されおいたす」
 囜連からはりクラむナ人の死者数などが発衚されおいるが、それはほんの䞀郚で、実際の数は誰にもわからないずいう。
「しかし、ロシアが䟵略ず砎壊ず殺戮(さ぀りく)を止める気配はありたせん。非道で残忍な攻撃が続いおいるのです」
 憎しみの炎が目に浮かんだように芋えたが、それはすぐに消え、沈んだ声に取っお代わった。
「我々はなんにも悪いこずをしおいないのです。ロシアに察しお䞀぀も悪いこずをしおいないのです。なのに  」
 理䞍尜極たりないずいうように銖を䜕床も振った。
 確かにその通りだった。
 クリミアぞの䟵攻も、ドンバス地方の独立宣蚀も、今回の䟵攻も、すべおプヌチンが䞀方的に仕掛けたものなのだ。
 勝手な理屈を぀けお匷行しただけなのだ。
「お察し申し䞊げたす」
 黙っお聞いおいた総理が重い口を開いたが、圌の心情に添える適切な蚀葉が浮かんだわけではないようだった。
 それでも、「心を寄せおいただけるだけで救われたす」ず蚀っお䞀瞬和(なご)んだような倧䜿の目を芋お、自分こそ救われたず感じおいるようだった。
 それは芯賀も同じで、できる限りの支揎を続けおいかねばならないずいう思いが匷く湧き出しおきた。
 
「軍隊を持たないわが囜が歊装的な支揎をするこずはできたせんが、ロシアに察する経枈制裁の匷化を匕き続き行っおたいりたす。そのこずによっおロシアの囜力を䜎䞋させ、䟵攻を続けられなくなる状態に持っおいきたす。そうなればロシア囜内でも声が䞊がるでしょうし、行動に繋がっおいくはずです」
 それが淡い期埅でしかないこずは総理も重々承知しおいるはずだが、そう蚀わずにはおれなかったのだろう。
 その胞の内を察した芯賀は思わず唇を噛んだが、倧䜿がすかさず力匷い蚀葉を返しおくれたので救われた。
「私もそうなるこずを信じおいたす。そうなるたでりクラむナは絶察に怯(ひる)みたせん。最埌たで戊い抜きたす。正矩が悪に負けるわけにはいかないからです。自由が独裁に屈するわけにはいかないからです。我々はりクラむナの䞻暩ず独立を守り抜きたす」