「ナタヌシャ、あなたはモルドバぞ垰りなさい」
「えっ、でも、」
「よく聞いお。状況がたったく倉わっおしたったの。぀いこの前たでヘル゜ンが䞻戊堎になるず思っおいたけど、むラン補のドロヌンやミサむルがロシアに䟛䞎されおから党土が暙的になっおしたったの。これに北朝鮮のミサむルが加わったら曎に酷いこずになるかもしれない。そうなるずりクラむナにはもう逃げ堎がなくなるこずになる。どこにいおもやられおしたう可胜性があるの。だからもっず酷くなる前に逃げお。モルドバぞ垰っお」
「でも、」
「わかっおる。䞀緒に戊おうずしおくれおいるのはわかっおる。その気持ちは嬉しい。だけどこれ以䞊危険な目には合わせたくないの。あなたを巻き添えにはしたくないの」
「でも、」
「いや、劻の蚀うずおりだ。君は本圓によくやっおくれた。りクラむナのために危険を顧みず身を粉にしお尜くしおくれた。本圓にありがたく思っおいる。だが、もう十分だ。これ以䞊居おはいけない」
「でも、」
「お姉さん、そうしお。そしおご䞻人のいる日本に垰っお」
 反論する隙を䞎えないかのように倫に続いお嚘からも説埗が続いた。
 しかし、ナタヌシャの気持ちは倉わらなかった。
 だからすぐさた反論しようずしたが、マルヌシャの声にたたも遮られた。
 しかしその声は䞀転しお穏やかなものに倉わっおいた。
「私たちはあなたのこずを倧切な人だず思っおいるの。りクラむナのためにこんなにたでしお尜くしおくれる倖囜人なんおめったにいない。だから同志ず呌んでもいいくらいに思っおいるの。でもい぀たでもあなたの気持ちに甘えおいおはいけないず思うの。もしかしたら党面戊争になるかもしれないこの異垞事態にあなたをここにずどめおおくわけにはいかないの。わかっお、ナタヌシャ」
 䞡肩を優しく掎たれた。
 その目には溢れんばかりの愛情が灯っおいるように芋えた。
「ありがずうございたす。こんなにたで心配しおいただいお胞が䞀杯です。でも聞いおください。わたしはこの地を離れようずは思っおいたせん。あなたたちの蚱から去る぀もりはないのです」
「いいえ、」
「聞いおください。お願いです、最埌たで聞いおください。わたしはロシア人です。冷酷なプヌチンず同じ血が流れおいるロシア人です。無差別な殺人を繰り返しおいるロシア軍ず同じ血が流れおいるロシア人です。忌たわしい独裁者たちの歎史を背負っおいるロシア人です。そのこずに忞怩(じくじ)たる思いでいたす。慙愧(ざんき)に堪(た)えないず蚀っおも過蚀ではありたせん。できるこずならこの血を党血亀換したいくらいです。でも、ロシア人であるこずを倉えるこずはできたせん。残念ながら死ぬたでロシア人なのです。    死のうず思いたした。この䞖から姿を消そうず思いたした。それがりクラむナの人々に詫びる唯䞀の道だず思ったからです。でもそれは逃げでしかないこずに気づきたした。忌たわしいロシア人であるこずに察しお真正面から向き合っおいないこずに気が぀いたのです。だから行動しなければならないず思ったのです。だからトルコぞ、そしおモルドバぞ行き、この地にやっおきたした。死ぬ気になったらなんでもできるず思ったからです。するず䞀人の女性に出䌚いたした。祖囜のために信念を持っお行動しおいるマルヌシャず出䌚ったのです。これは運呜だず思いたした。この人ず共に掻動するこずがわたしの䜿呜だず感じたのです。だからボランティア仲間がモルドバに匕き䞊げた時もこの地に残りたした。それが圓然だず思ったからです。その気持ちになんの疑いも持ちたせんでした。わたしは運呜に埓いたす。䜿呜を果たしたす。ロシア軍を远い出すたでこの地にずどたりたす。どうかお願いです。わたしをここに居させおください」