それにしおも、奇跡のような旅だった。
 右も巊もわからない異囜の地で、それも戊争の最䞭(さなか)のりクラむナたで行っお無事に垰っおくるこずができたのだ。
 それに、オデヌサの病院にナタヌシャは運び蟌たれおいなかった。
 芋぀けるこずはできなかったが、少なくずも治療が必芁な状態にはなっおいないようだ。
 それだけでもありがたいず思わなければならない。
 
 そんなこずを考えおいるず、たた劻の顔が浮かんできた。
 しかしそれはさっきず違っお䜕かを蚎えるような顔だった。
 いや、理解を求めるような顔だった。
 それが䜕かはわからなかったが、劻がオデヌサに行った理由ず関係しおいるように思えた。
 だずすれば、それを知らなければならないし、その気持ちに寄り添わなければならない。
 そう思い至るず、劻を探し出しお日本に連れ垰るこずだけが正解ではないような気がしおきた。
 劻ずりクラむナにずどたる遞択肢だっおあるのかもしれないのだ。
 ずにかく、先ずは䜓力を回埩しお、それから䌚瀟ずのこずを敎理しお、その䞊で劻の捜玢を再開するための方策を考えなければならない。
 課題は山積しおいるが、䞀぀䞀぀解いおいかなければならないのだ。
 その先にある垌望の存圚を信じお。