「ナギ、カイちゃん、久しぶり」


 そう言うとナギの方から「久しぶり」と声がした。カイちゃんはナギの後ろから顔だけ出して小さくうなずいた。


「瑠依くん、今日からここは瑠依くんのお家よ! 気なんて遣わなくていいからね」


 今日から三週間この家お世話になる。理由はお父さんが中国に三週間の出張になるからだ。


 お父さんとここのおじさんは学生時代からの親友だったみたい。お母さんは小学校三年生の時に病気で死んじゃって、そこからお父さんが男でひとつで育ててくれた。しばらくは遠くに住んでいたんだけど高校入学を機にこっちに戻ってきた。だけどここに挨拶に来られない理由があった。


 そんなこんなでもう二年が経ち、高校二年になった今、突然こんなことになり、頼るところもなくここの家族に連絡をした。


 そんな失礼な親子に嫌な顔ひとつせずおじさんもおばさんも快く迎え入れてくれた。


「瑠依くん荷物置いてきちゃいな、ほらナギ、案内してあげて」
「ああ」