「いえ、いいのよ、彰人くんと瑠依くんに久しぶりに会えて嬉しいもの。あら、こんな気を遣わなくてよかったのに、ありがとう。それより近くに住んでたなんて知らなかった」
「瑠依が高校入学と同時に引っ越してきたんだよ」
「そうだったのね。さあさあ、上がって、ほらナギ! カイ! 下りてきて」


 おばさんはくるりと振り返り二階に向かって声を上げる。

 すると二階から少し気だるそうにふたりの男の子が下りてきた。

 
「いやぁ、ナギくん、カイちゃん久しぶり、おじさんたちのこと覚えてるかな? こんなに大きくなって」


 お父さんが目を細めると少し恥ずかしそうにふたりは頭を下げた。
 ナギとは同じ年の現在高校二年生、学校は違う。弟のカイちゃんは二歳下だったから今は中学三年生のはずだ。
 

「お父さんは今日は残業しないで早く帰ってくるって言ってたから夕方には帰ってくると思うわ」
「いやー、誠二に会うのも何年ぶりだろう、楽しみだな」
「お邪魔します」
 

 そんな話をしながらお父さんとふたりで家に上がった。