「瑠依くん、毛、まだ生えてなさそう」
　

　そう言ってカイちゃんはニヤリと片方の口角を上げた。
　

「こら！　カイ！」

　
　案の定おばさんに怒られて唇を尖らす。

　
「あ、はい実はそうなんですよ。で、恥ずかしくて」
「あーん、そんなこと言わせないの！　カイ！」

　
　おばさんは怒っている。だけどおばさんは優しい。優しさに甘えられているカイちゃんが羨ましい。おばさんみたいなお母さんがいたらいいのに、なんて実のお母さんを思い出しながらおばさんの姿を重ねた。

　カイちゃんは仕方なくお風呂を譲ってくれた。ナギの部屋に戻りノックをすると「はい」と言われたのでドアを開け、コソコソとキャリーケースの中から下着を取り出す。ナギはナギのスペースでスマホをいじっていた。

　こちらを向く前に慌てて下着を取り出して風呂場に向かった。