◇
「今月の"ルビー"……。
画像見てるだけで暑いなぁ、この赤」
「『勝利』を呼ぶ石よ。素敵じゃない」
「んー。今日は安直に、"ルビー・カシス"にしてみたんですけど……
やっぱホンモノみたいな鮮やかな色にはならんすね」
「気に入らない?私はこういう深い赤も好きよ」
「あ、確かに。麗子さん、赤いのん好きですよね。
爪とか……あと、いっつも耳につけとるのもそうやし。
それ、もしかしてルビーですか?」
「いいえ、ピアスの石は"スピネル"」
「すぴねる……?初めて聞いた。調べよ。
……あ、来月の石なんすね」
「そう、お守りなの。私の誕生石だし」
「へぇ、そうなんや……って。
え。じゃあ、もしかして……来月誕生日ってこと?」
「そうよ」
「聞いてへんっすよ」
「聞かれてないからね」
「だって……大体はぐらかすんやもん」
「いいわよ、今なら。知りたいことは何?」
「……来月のいつですか。誕生日」
「26。これでも乙女座よ」
「ほしいものは?」
「特には」
「行きたいとこは?」
「ないわね」
「……ルビーは、前に進む『勇気』や『情熱』をくれるんですよね」
「そうね」
「じゃあ…………俺のこと、どう思ってる?」
「……………」
「……………」
「………………ふ。
こんなところにも見つけたわ、ルビー」
「やめて。俺の顔見んといて。
赤いのはわかったから。
……で、どうなんすか」
「そうね……。強いていうなら……」
「し、強いていうなら……?」
「——期待してる、かな」
「……はぁ。結局ズルいよなぁ」
「あと、八重歯が可愛い」
「かわっ………!?
……………………そりゃどーも」
◆