「今月の"ルビー"……。
画像見てるだけで暑いなぁ、この赤」


「『勝利』を呼ぶ石よ。素敵じゃない」


「んー。今日は安直に、"ルビー・カシス"にしてみたんですけど……
やっぱホンモノみたいな鮮やかな色にはならんすね」


「気に入らない?私はこういう深い赤も好きよ」


「あ、確かに。麗子さん、赤いのん好きですよね。
爪とか……あと、いっつも耳につけとるのもそうやし。
それ、もしかしてルビーですか?」


「いいえ、ピアスの石は"スピネル"」


「すぴねる……?初めて聞いた。調べよ。
……あ、来月の石なんすね」


「そう、お守りなの。私の誕生石だし」


「へぇ、そうなんや……って。
え。じゃあ、もしかして……来月誕生日ってこと?」


「そうよ」


「聞いてへんっすよ」


「聞かれてないからね」


「だって……大体はぐらかすんやもん」


「いいわよ、今なら。知りたいことは何?」


「……来月のいつですか。誕生日」


「26。これでも乙女座よ」


「ほしいものは?」


「特には」


「行きたいとこは?」


「ないわね」


「……ルビーは、前に進む『勇気』や『情熱』をくれるんですよね」


「そうね」


「じゃあ…………俺のこと、どう思ってる?」


「……………」


「……………」


「………………ふ。
こんなところにも見つけたわ、ルビー」


「やめて。俺の顔見んといて。
赤いのはわかったから。
……で、どうなんすか」


「そうね……。強いていうなら……」


「し、強いていうなら……?」


「——期待してる、かな」


「……はぁ。結局ズルいよなぁ」


「あと、八重歯が可愛い」


「かわっ………!?
……………………そりゃどーも」