「…なんで、バレてるかもって思ったの?私なにか態度に出てた?」


「いや、勘。ーーけどそう言うってことは、やっぱなんか裏があるんじゃないかって思ってたんだ」


そう言われて、自分で墓穴を掘って“優等生"の瀬川くんを胡散臭いと思ってたことを暴露してしまったことに気づく。

しかも、本人の目の前で。

そのことを自覚した瞬間、さあっと頭から血の気が引いた。


「っと…、ごめん」


咄嗟に言葉が思いつかなくて、ごめんの対象も分からないまで謝罪が口をついで出た。

その言葉にどことなく不機嫌そうな表情を向け、再び瀬川くんはピアノの椅子に腰掛けた。

床に散らばったままだった楽譜が目についたから、かがんで拾い集めて、譜面を順番通りに並び替えて角を揃える。

黙ったまま、それの楽譜の束を持って瀬川くんが腰掛けているピアノの近くまで歩み寄った。