「………………ユマさん。私の罪の告白を聞いていただけますか」
「はい。一国の王子を鞄の中に入れて持ち運んでおられましたね。遠慮なく抱きしめてもおられました」
「……。それだけではありません。添い寝もしましたし、頭にキスもしました」
「あらまあ」
「それにっ……それに、何よりっ……」
 息が詰まる。声が震える。

 旅の道中、リナリアは滝つぼの近くの川で水浴びをした。

 そのときアルルは木の下で寝ていたのだが、リナリアが川から上がったときにちょうど目を覚ました。

 全裸のリナリアを見たアルルはまるで誰かに殴られたかのような勢いで身体ごと顔を背け、両前足で目を覆って丸まった。

 その日一日、アルルはどこか様子がおかしかった。

「私、アルルに裸を見せちゃったんですよ!!」

 濡れた頭を抱えて叫ぶ。

「王室不敬罪に誘拐・略取罪、さらに公然わいせつ罪も追加されましたね。他にも余罪があるかもしれません。果たして何回首が飛ぶことになるのでしょうか」
 ユマは冷静に言って、泡塗れになったリナリアの左腕にお湯をかけた。