「あの、エルザ様。教えてください。アルルが――イスカ? が、王子様とはどういうことですか?」
 とうとう焦れて尋ねる。

「いいこと? 落ち着いて聞きなさい、リナリア。そうね、まずは深呼吸して」
「? はい」
 言われた通りに深呼吸する。大きく息を吸って、吐く。

「では発表します」
 一つ頷き、エルザは片手全体を使ってアルルを示した。

「あなたがアルルと呼んだこの魔物は――いえ、このお方は。セレン王子の隠された双子の弟君、イスカ王子です」

「……………………おうじ?」
 リナリアはゆっくりと首を動かしてアルルを見た。

 アルルはなんだか気まずそうな顔で――リナリアにはそう見えた――頷いた。

「…………はあっっ!!?」
 自分でもかつて聞いたことがないほどに素っ頓狂な声が出た。