(おかしいかしら。アルルは魔物なのに、私はアルルが何を考えているのか知りたいと思ってる。落ち込んでいるのなら励ましたいし、悩んでいるなら解決策を一緒に考えたい。ねえ、アルル。セレン王子はあなたにとってどんな人なの? あなたにその耳飾りを贈ったのは誰? それとも、その耳飾りはただ森で拾っただけなの?……)
仮に声に出して疑問をぶつけたところで、アルルが返事をすることはない。
声帯そのものがないのか、それとも声を出せない要因があるのか、これまでアルルは鳴き声一つあげたことがなかった。
アルルが人語を理解しているとわかってから、リナリアはアルルに文字を教えようとした。
言葉が喋れないのなら文字を使えば意思疎通が図れるのではないか。そう期待して、リナリアは簡単な文字を地面に書き、アルルに真似るよう頼んでみた。
しかし、アルルは文字が書けなかった。
書こうとした途端に、何故か不自然に固まってしまう。
何度試しても結果は同じで、そのうちリナリアは諦めた。
(声を出せないことといい、文字が書けないことといい――まるで誰かに意思伝達を阻害する呪いでもかけられているかのようだわ)
仮に声に出して疑問をぶつけたところで、アルルが返事をすることはない。
声帯そのものがないのか、それとも声を出せない要因があるのか、これまでアルルは鳴き声一つあげたことがなかった。
アルルが人語を理解しているとわかってから、リナリアはアルルに文字を教えようとした。
言葉が喋れないのなら文字を使えば意思疎通が図れるのではないか。そう期待して、リナリアは簡単な文字を地面に書き、アルルに真似るよう頼んでみた。
しかし、アルルは文字が書けなかった。
書こうとした途端に、何故か不自然に固まってしまう。
何度試しても結果は同じで、そのうちリナリアは諦めた。
(声を出せないことといい、文字が書けないことといい――まるで誰かに意思伝達を阻害する呪いでもかけられているかのようだわ)