心ここにあらず。
夜が更けてもアルルはそんな調子だった。
ベッドの上でうずくまり、どこでもない一点を見ている。
「アルル。今日は疲れたでしょう? もう寝ましょう。明日は早いのよ。陽が上ると同時に王都を経ち、昼にはミストロークに着く予定なの。ほら、おいで。明日に備えて寝ましょう?」
掛布を軽く持ち上げると、アルルは素直に潜り込んできた。
「良い子」
微笑んで手を下ろす。
共に旅を始めた当初、何故かアルルは頑なに同じベッドに入ることを拒んだ。
三日が経過した夜、痺れを切らしたリナリアは「アルルがベッドで寝ないなら私も床で寝るわ!」と宣言した。アルルはその日からようやく一緒に寝てくれるようになったのだ。
明かりを消した部屋の中、リナリアは無言でアルルを見つめた。
呼吸の度にアルルの身体は僅かに上下している。
この小さな生き物はいま何を考えているのだろう。
夜が更けてもアルルはそんな調子だった。
ベッドの上でうずくまり、どこでもない一点を見ている。
「アルル。今日は疲れたでしょう? もう寝ましょう。明日は早いのよ。陽が上ると同時に王都を経ち、昼にはミストロークに着く予定なの。ほら、おいで。明日に備えて寝ましょう?」
掛布を軽く持ち上げると、アルルは素直に潜り込んできた。
「良い子」
微笑んで手を下ろす。
共に旅を始めた当初、何故かアルルは頑なに同じベッドに入ることを拒んだ。
三日が経過した夜、痺れを切らしたリナリアは「アルルがベッドで寝ないなら私も床で寝るわ!」と宣言した。アルルはその日からようやく一緒に寝てくれるようになったのだ。
明かりを消した部屋の中、リナリアは無言でアルルを見つめた。
呼吸の度にアルルの身体は僅かに上下している。
この小さな生き物はいま何を考えているのだろう。