(え……嘘。こんな森の浅いところに、これほど大きな魔物が出るなんて)
 想定外の事態に頭が真っ白になった。
 現れたのは極端に短く太い足で二足歩行する、ずんぐりとした巨体の――白い、かぶのような植物だった。

 体長は二メートル以上。
 リナリアにとっては見上げるほどに大きい。

 魔物の頭からは緑のツタが生えていて、先端に奇妙な形の葉っぱがついていた。
 ツタは触手のようにうねうねと動き、かぶの中心部分には大きな口がある。

 この魔物はあの大きな口で動物を捕食するのだろう。
 そして多分、人間も動物に含まれる――

 あっ、と思う暇もなく、頭のてっぺんに生えているツタが鞭のように伸びて襲い掛かってきた。