雪のように真っ白な体毛のウサギだった。

 正しくは、ウサギに似た魔物である。
 通常のウサギと違い、その魔物は長い耳の部分が翼のようになっていて、飛ぶこともできた。

 魔物の右の耳の根元には金色のリングが嵌まっていて、リングには赤く丸い石がついている。

 彼こそが――性別は不明なため、ひょっとしたら彼女かもしれないが――リナリアが『アルル』と名付けたウサギ型の魔物。

 一般的に魔物は凶暴で、人や動物を襲う習性があるが、アルルは違った。

 アルルは夜毎リナリアの歌を聞きに来て、リナリアが歌い終わると決まって一輪の花を贈ってくれた。