やがて、中谷のお姉さんと話すことも増えた。

婚約者に裏切られた女同士ということで親しくなり、今に至るという訳である。

*****

もう、この庭園での真夜中のピクニックは何度目になるだろう。

「今も、ここで結婚式を挙げたいって思う?」

星空を見上げながら中谷に問われ、

「うーん…いい相手がいればね。もう、浮気されるのは絶対に嫌だから、一途な人がいいし…。やっぱり慎重にもなるわよ」

それが私の本音だった。

もう、傷はとっくに癒えているが、結婚ともなれば、慎重になっているのは間違いない。

「しつこいぐらいに一途な奴なら、一人知ってるけど」

「何よ、それ」

私は小さく笑った。

「20年近く、初恋の相手だけを想い続けてるような奴だよ」

「それは相当ね」

「聞いたことない?バカな男子は、好きな女の子に素直になれなくて、ちょっかいを出すしかできないって話」