何故そんなことを言うのだろう…?

戸惑いながらも、

「ううん、迷惑じゃない」

中谷が迎えに来てくれて、私たちは、あの庭園にビニールシートを敷き、寝転んで星空を見上げた。

「この庭園、中谷が手入れしてるの?」

「ん?そうだよ」

「そっかぁ。私、この庭園に一目惚れして、こんなところで結婚式を挙げられたらいいなって思ってたの」

「うん…」

「あ、別にもういいんだってば!あんな浮気男のことは」

中谷は私の右手を見遣ると、

「包帯、取れたんだな。怪我はもう大丈夫か?」

「うん。私って怪我の治りは早いから、心の回復も早いよ、きっと」

3割は強がりで、7割は本音でそう言った。

「俺に出来ることがあったら、何でも言って欲しい」

星空を見上げたまま、中谷が言い、

「じゃあ…時々、この庭園へ遊びに来たいな」

私も、星空を見上げたまま答える。