「昔のことだから、すっかり忘れてたけど。うちの弟ね、小学生の頃“ササガワルツ”って女の子のことばかり話してたなぁ…って、おもむろに思い出したのよ」

中谷との皮肉な再会から1年。

この1年で、私と中谷の距離はごく自然に近づいた。

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あの再会から数日が経った夜、私は、思い切って中谷に電話をかけてみた。

流石に真夜中ではなく、まだ起きていそうな時刻に。

「笹川?連絡くれて嬉しいよ」

やたらストレートにそう言われ、何故か顔が火照るのを感じた。

「どうした?黙っちゃって」

そう言われても、何か用があって電話したわけではなかったので、話す言葉に詰まってしまった。

「もし辛いなら、今すぐ行くよ」

「え?辛くはないから大丈夫だよ!遅くに悪いし…」

「もし、俺のほうがほんの少しでも顔を見たいって言ったら…笹川は迷惑?」