「わかった。無理に聞き出すようなことはしない。だけど…もし、急に辛くなったりした時は、夜中でも構わないから、いつでも呼び出してくれよ。こんな風に再会したのも何かの縁だろうし」

そう言われて、ほんの一瞬だけ嬉しくなったが、やはりそれは間違っていることだとすぐに気付いた。

「やめてくれない?結婚がダメになったところにつけ込むみたいに優しくするのは」

自分でも驚くほど冷たい声でそう告げた。

「つけ込むなんて、そんなつもりは…」

「あんた、ちょっと酷すぎる。自分の子供を命がけで産んでくれる奥さんが悪阻で苦しんでるっていう時に、昔の同級生の女にそんなこと言うなんて、神経を疑うわ!」

つい、声を荒げてしまった。

「ちょっと待てよ。子供とか奥さんって何の話?」

「さっき自分で言ったでしょ?悪阻が酷いから、代わりに応対するって」