「そっか。凄いじゃん!右手に包帯が巻いてあるから、仕事に支障を来してないかと思ったけど」

普段から、手を怪我しないように気をつけていたはずなのに、今回ばかりは、やらかしてしまった…。

「あのさ…。もし俺でよかったら話聞くよ?」

そう言ってもらっても、破局に至る詳しい話など、誰にもしたくない。

「ありがとう。でも、別に落ち込んでないし、大丈夫だから」

笑って言ってみせたが、本当は、やはり落ち込んでいる。

思わず殴ってしまうほど頭にきたのは、あの人を本気で愛していたからなのか、プライドが酷く傷ついたからなのか、自分でもよくわからない。

どちらにしても、理性を失うほどの状態になったというのは間違いなく、そんな自分を人に知られたくない思いもある。